帯状疱疹ワクチンについて
帯状疱疹は、多くの人が子供のときに感染する水ぼうそうのウィルスが原因で起こります。水ぼうそうが治った後も、ウィルスは体内(神経節)に潜伏して、過労やストレスで免疫力が低下するとウィルスが再び活性化して帯状疱疹を発症します。発症率は 50 歳台から高くなり、80 歳までに約3人に1人が発症するといわれています。日本人の成人の90%以上にこのウィルスが体内に潜伏していて、発症する可能性があるといわれています。
発症すると皮膚の小水疱をともなった赤みのある発疹がウィルスが活性化した神経にそって帯状に広がっていきます。さらに皮膚だけではなく、神経にも炎症を起こし、強い痛みが現れてきます。通常は皮膚の発疹の方は、1~2か月程度で徐々に改善、消失していきます。痛みはそれに遅れて徐々に改善していくことが多いのですが、2割程度の方は3か月以上続くことがあり、中には数年にわたって痛みに悩まされる方もおられます。このような状態を、帯状疱疹後神経痛(PHN)と呼びますが、なってしまうとこれがなかなかつらいものなのです。特に高齢者ではリスクが高く、発症したらできるだけ早期に治療を開始する必要があります。具体的には抗ウィルス薬があるのですが、皮疹がでてからできるだけ早く、早ければ早いほどいいと思いますが、少なくとも5日以内には治療を開始する必要があります。
しかし発症する前にできれば予防するほうが望ましいことはいうまでもないと思います。帯状疱疹にはワクチンがあります。日本では 50 歳以上でしたらワクチンをうけることができるのですが、これまでは一部の自治体以外は自費でした。2025年4月から、堺市では定期接種の対象となり、一部の年齢の方が対象(令和7年度中に65歳、あとは5 歳きざみで 100 歳以上まで)ではありますが、補助がでてかなりお安く受けられるようになりました。ワクチンには2種類あり、ざっくりいうと、生ワクチンのほうは値段の安さ、組み換えワクチンのほうは有効性にメリットがあります。詳しくは、堺市のホームページ、高齢者の帯状疱疹予防接種について 堺市 がよくまとまっていますので参考にしてください。
なお、50 歳台の方や、60 歳台以上でも定期接種の年齢に当たっていない方で早く受けたい方もおられるかと思います。当院ではこれまでも自費診療で接種をおこなっていましたので、そういった方も接種可能です。
堺市の場合
(詳しくは 高齢者の帯状疱疹予防接種について 堺市 を参照)
ざっくりといいますと下記のようになります。
対象者1
• 令和7年度中に65歳となる方
• 令和7年度中に70、75、80、85、90、95、100歳となる方
※100歳以上の方についても、令和7年度に限り全員対象となります。
接種費用(自己負担金)
(1) 生ワクチン「ビケン」:4,950円
(2) 組換えワクチン(シングリックス):1回あたり11,000円(2回合計22,000円)
自己負担金免除について
対象者のうち、以下のいずれかに該当する方は、自己負担金が免除されます。
(1)市民税非課税世帯に属する方
(2)生活保護受給世帯の方
(3)中国残留邦人等支援給付世帯に属する方
※インフルエンザの定期接種とは異なり、堺市の公害健康被害補償の対象となる方は自己負担金免除の対象となりませんので、ご了承ください。
自費の場合
- 生ワクチン(ビケン)
- 1回 8,000 円
※1回のみ接種 - 組み換えワクチン(シングリックス)
- 1回 22,000円
※2か月間隔をあけて計2回接種
組み換えワクチンの方は、確かにお高いのですが、一度、帯状疱疹になったことがある方や、なった方が身近にいた方などは、そのつらさがよくわかっているので、そちらを選ばれる方が多いようです。
また、ワクチン接種後、念のためですが、30分ほど院内で過ごしていただいてからお帰りいただきますようよろしくお願いします。


























