軽度認知機能障害(MCI: Mild Cognitive Impairment)
◆ 軽度認知機能障害(MCI)とは
- 正常な加齢による物忘れと、認知症のあいだの中間段階にあたる状態。
- 記憶力など認知機能に明らかな低下はあるが、日常生活や社会生活には大きな支障がない。
- 認知症の前駆段階として注目されています。
◆ MCIの種類
- 健忘型MCI:記憶の低下が主(→アルツハイマー病に進行しやすい)
- 非健忘型MCI:注意・言語・視空間認知などが低下(→他のタイプの認知症に進行する可能性)
◆ 症状の特徴
- 主に 記憶障害型 が多い(アルツハイマー型認知症に進行しやすい)
- その他にも注意力・遂行機能・言語などが軽度に障害される場合もある
- 本人は「最近忘れっぽい」と自覚していることが多い
| 特徴 | 内容 |
|---|---|
| ☑︎ 自覚症状あり | 本人や家族が「最近物忘れが増えた」と感じることが多い |
| ☑︎ 日常生活は基本的に自立 | 食事・着替え・金銭管理などは概ね可能 |
| ☑︎ 認知機能の低下が検査で確認される | 記憶・注意力・言語など、どれかが明らかに低下 |
| ☑︎ 認知症ではない | 社会生活に重大な支障はないため、認知症の診断基準には達しない |
◆ 経過
- 約10〜15%が毎年認知症(特にアルツハイマー型)に進行
- 約30%はMCIのまま維持
- 約20%は正常に回復することも
- 進行するリスク因子:高齢、糖尿病、高血圧、脂質異常症、運動不足、喫煙、抑うつなど
◆ 診断方法
- 問診・家族からの聞き取り(これが重要)
- 認知機能検査(例:長谷川式、MMSE、MoCA-Jなど)
- MRIやCT:主には他の脳疾患の合併の有無を確認するため。
- 血液検査:他の認知機能低下をきたす疾患除外のため
◆ 治療・対応
- 現在のところ MCIに特化した薬物治療は承認されていない。
しかし、アルツハイマー型認知症に進行する可能性のあるMCIの場合は、抗アミロイドβ抗体(レケンビ、ケサンラ)の治療の対象となる可能性がある。
(アルツハイマー型認知症)
- 生活習慣改善が中心
- 有酸素運動(ウォーキングなど)
- 地中海食や和食などバランスの良い食事
- 社会的交流(孤立を避ける)
- 認知トレーニング(読書、ゲーム、学習など)
- 基礎疾患(高血圧・糖尿病など)の管理も重要
◆ まとめ
- MCI = 認知症の前段階だが可逆性(元に戻る)がある場合もある
- 日常生活は保たれているが、客観的に記憶や認知機能の低下がある
- 生活習慣改善で進行を遅らせることが可能



























